2016年8月1日月曜日

オーステナイト系ステンレスSUS304をCr管球で測定する際の注意点

オーステナイト系ステンレスSUS304をCr管球で測定する際の注意点

  1. フェライト等のKα線を使用する場合に比べてオーステナイトは、Kβ線を使うのでX線強度が1/10になります。ノイズやバックグランドの影響を受けやすく誤差が大きくなります。
  2. 加工誘起変態で一部がマルテンサイト化するのでマルテンサイトとオーステナイトの回折ピークが並立して応力の計算がうまくできない、誤差が大きい場合があります。
  3. SUS304は、加工硬化によりかなり硬くなります。そのため測定された応力値が0.2%耐力より大きな数字が出る場合があり、測定の信頼性を疑われる場合があります。
  4. フェライトより回折角が小さいので回折環が開いた状態になりより測定面と近づける必要があります。継手の形状によっては、溶接部分の応力測定が困難な場合があります。
 したがって現場測定の場合は、同じ材料で同様に作成した簡易構造試験体(継手の形状はできるだけ同じ)でお試しの測定をしてから、測定の可否、精度を確認してください。

SUS304構造体の応力測定例

SUS304は、加工硬化が著しい材料ですのでピーニングの圧縮応力はかなり高くなる場合があります。



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